何事も、慣れてくると日々鈍感になり、少しずつ重たくなってくる。ほぼ二ヶ月ぶりのイタリアは新鮮なような懐かしいような微妙な存在だ。ローマからペルージャに向かう車窓の風景は何度か見たはずなのに、戻ってきたという高揚感からか景色が新鮮にも懐かしくも見える。年末日本に戻った時には、風化して遺跡のような石の教会や、冬枯れしてひたすら長閑な田園風景に、何も感じていなかったように思う。イタリアが日常になりつつあったのかもしれない。
 |
これがパルマの生ハムクラテッロ。見た目も麗しく塩分控えめなので、味も柔らかい。塩味の効いた揚げパン(写真参照)
と一緒に食べる。 |
置いてきた荷物をパルマに送るためにペルージャに立ち寄ったのだが、郵便局は集荷サービスをしてくれないので、UPSという宅配便の会社に頼むことにした。
重さと箱のサイズがわからないと金額が出せないから人も出せないという。サイズはともかく重さはわからないので、かなり軽めにサバを読んだらそのまま計算されて予想よりも随分安い値段で荷物を送ることに成功。ニンマリしていたら、翌日住所がないと電話がかかってきた。私の荷物はパルマでなくパドバへ行ってしまったことがわかった。住所を見直すとどう見てもパルマだし、郵便番号も書かれていたし、配送センターの人からも郵便番号を聞かれたのに、パルマとパドバを間違えるとは外国人の私の方が驚く。システムというより人のいい加減さ故、得することも損することも五分五分・・・イタリアに心底戻ってきた気がしてきた。
 |
| アパートのエントランス。天井が恐ろしく高い。 |
パルマに着くと、大学のスタッフが大学手配のアパートまで引率してくれた。「君はラッキー。駅からすごく近いし、いいアパートだよ。」またまた・・ぬか喜びにならないよう、実物を見てからだなっと内心思う。案内されたアパートは本当に駅の目の前で、その割には部屋の向きのせいか比較的静か。3人部屋でバスが2箇所。1箇所はなぜかジャグジーつきでホテルの様だ。備え付けの家電製品、家具類リネン全てが新品。一期生ならではの特典だ。キッチンの棚には当面の食材なども用意されており、オリーブオイルはもちろん、ジャムやビスケットもオーガニック、洗剤もエコロジータイプでこちらの予想を上回る気の利いた配慮。そして、新たなるルームメイトのイタリア人、ナタリーはアオスタという北方の出身で、ご両親と一緒に車でやってきた。南の人達のように、いきなりトップギアで親愛の情を丸出しに接近してくる感じではなく、抑え目で品のいい、ほんわかとキャラクターの温かさが伝わってくるタイプ。やはりイタリア人と思わせたのは、着いた当日から窓掃除を始めたこと。掃除は当番決めてやろうよ、と言うと、いいのいいの好きだから、気にしないでねと。これは南北共通なのか?彼女は日本文化好きで、イタリアで翻訳されている日本の小説はもちろん日本茶の愛好家でもあり、毎日南部鉄瓶でお茶をたしなんでいる。ペルージャでは皆が食べられなかった海苔も昆布もOK。もう一人のルームメイトのマリカはヘルシンキ出身。北欧の人は太陽を求めてイタリアに来ると聞いていたが、彼女自身が太陽のように明るい性格で、自分は典型的なフィンランド人ではないのよとカラカラと笑う。
 |
 |
バリエーションに富んだ日本のお菓子はイタリアの若者に大人気。 |
フィンランド人マリカ。行動力抜群で既にパルマの街を制覇。 |
前職は大学で経営学を教えていたようだ。「でも忙しくって疲れちゃったのよ。ノーヴァ ヴィータを求めてやってきたのよ。」とまた笑う。フィンランドと日本の社会状況は比較的似ているようで、「携帯買ったのはいいけど、自分の番号がわからないのよ。店の人、普通教えてくれるわよね。フィンランドではありえないわ。」こう言ってはなんだが、二人とも当たり。楽しく同居できそうだ。
さて、大学初日の2月28日は前日に降った雪の影響でバスが1時間も遅れ、イタリアらしいスタートとなった。美食+アルファを求めてやってきた学生は25人で、イタリア人が10人(北部のみ)、他の学生の国籍はスイス、フィンランド、フランス、アメリカ、カナダ、メキシコ、そしてアジアは日本だけ。これからどんなノーヴァ ヴィータになるのか?なにせイタリアな上に前例もない。全く未知なる生活なのだから。
大学のサイト
http://www.unisg.it/ |