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それいゆコラム
米村美樹子氏 天天向上勇往直前! 上を向いて歩こう〜龍の国の女性たち
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第1回 中国人が描く日本人女性像
2008年の五輪に向けて、街は建築ラッシュ。いたるところで、槌音が響く。
北京から3時間の地方都市にある日系企業の工場を研修の仕事で訪れたときのこと。ジャケットにスカートという傍目からも一目で日本人と判るOLスタイルで社内を歩いていると、東京、そして北京でも受けたことのない不思議な視線を感じる。社員食堂の社長と名乗った女性は、食事する私の隣に張り付いてまじまじと顔を覗き込みながら「あなた、きれい」を連発している。生産ラインの中国人従業員たちは私が通っていくのを手を止めて見ている。日本からの出向者の多い工場と言えど、そのすべてが男性。
日本の女性を滅多に見る機会のない彼らにとって、私はまさに動く日本人女性の標本で、「あ、動いた動いた、お、しゃべったぞ!」という状態らしい。 中国で人寄せパンダになった気分。さらに、工場内の数少ない女性である通訳部の中国人主任のからこんな言葉が。「男性だらけの中で毎日作業着着て、通訳することといえば、技術の話ばかり。日本人みたいな女らしいことが勉強したいんです!」女らしさの伝道を私は彼女に期待された。
日本の建築家・山本理顕氏設計のビル群、建外SOHO。林立するビル内には、オフィスや店舗が入居している。北京の六本木ヒルズ的存在。
中国人が日本人女性に対して持っている印象は非常にいい。「温柔(穏やかでやさしい)、女らしい」。タクシーに乗って日本人だと判ったら、運転手にこうした言葉を並べて褒められたという経験を、周囲の日本人女性のほとんどがしている。率直でりりしいことを理想とする中国人女性に囲まれると、はやり日本人の物腰はやわらかく、ちょっとしぐさの女らしさが際立って見える。
容貌も「色白で、小柄、センスがいい」と高評価。卓球の福原愛ちゃんにも”“瓷娃娃(陶器のお人形)”というニックネームが付けられ、ルックスでも人気を集めている。中国大陸で「ヤマトナデシコ」のブランド力は、日本製品をもしのぐと言っていい。
こんな日本人女性人気を説明するには一人の日本人の名前をあげないわけにはいかない。それはあの山口百恵。そして中国が海外に門戸を開きつつあった80年代、熱烈な支持を集めたのが百恵さんの「赤いシリーズ」だ。数奇な運命に翻弄されながらも、楚々として健気に生きる主人公の姿は、娯楽ソフトに飢えた当時の中国人の心を打ち、日本人女性への憧れを膨らませる。百恵さん人気は現在も絶大で、DVDの店に彼女の出演作が並んでいるのはもちろん、1月17日の誕生日には、ラジオの特集で取り上げられるほど。ある友人は、日本人と判ると、「今山口百恵はどうしているんだ?」と質問されたという。その一方、最近はハリウッドや韓国のソフトに押され、百恵さんを超える知名度の日本人女優が出てきていない。中国人の日本人女性のイメージは、いまだ憂いを含んだ山口百恵の面影の中に留まっているようだ。
お昼どき、敷地内のレストランはホワイトカラーでにぎわう。
それが原因か、日本人女性と知り合うと、まるで版で押したかのように中国人はこんな質問をする。「日本の女性って、結婚したら家庭に入って働かないんでしょ?」
そのたびに日本人は、「今では結婚しても大勢の女性が働いているよ」と現実を説明することになるのだか、相手が、家庭に入る従順な日本人女性に憧れる中国人男性だった場合、幻想を打ち砕かれちょっと残念そうな表情になる。
誤解されたイメージといえば、こんなのもある。「日本は“男尊女卑”の国。日本人女性は男性に虐げられているから、中国人と結婚するほうが幸せだ」。聞いてみると、結構な数の友人たちが、独身と判明した途端中国人男性を紹介すると持ちかけられたり、独身の日本人女性を紹介してくれと相談を受けたりしている。そしてこう言われる。
SOHO現代城。こちらも北京の企業家たちが入居したいオフィスビルの一つ。
テナントは充実。セブンイレブン、香港系ドラッグストアチェーン・ワトソンズなどの看板も。
現代城と、隣り合う庶民の市場。今の中国の格差を象徴するかのようなコントラスト。
マガジンスタンドに並んだ雑誌の種類は、比較的豊富。ファッション雑誌人気No.1は、主婦の友社出資の雑誌「瑞麗(ルイリー)」。
「中国人はいいよ。料理は得意だし、奥さんも大事にするよ。ほら、日本人の男って仕事ばっかりで家事しないんだろ?」確かに奥さんへの理解がなく亀裂が入るカップルは少なくないのだが、これじゃあ日本人男性はダメ人間だらけみたい。おまけに女性が被害者扱いの理論で思わず苦笑。ここは日本男児の奮起を期待しよう。
中国で日本人女性というポジションは、案外心地いい。反日デモ以降、日本人と判ると嫌がらせを受けるのでは?という受け止め方をする人が多いのだけれど、実際ここで暮らしていると、むしろ日本人だから信頼し、良くしてくれることが意外に多い。特に女性となると中国人のやさしさは割り増しする。だからこそ「ヤマトナデシコ」のブランドイメージ失墜につながる言動は避けなければ。なにしろこのブランド、リコール不可能ですから。

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