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それいゆコラム
米村美樹子氏 天天向上勇往直前! 上を向いて歩こう〜龍の国の女性たち
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第2回 広がる世代間のギャップ
北京を代表する繁華街・西単(シータン)。休日は、買い物に訪れる若者でにぎわう。
こちらに来て間もない頃、私が外国人だとわかると中国人はよくこんな質問をした。「中国人の印象はどう?」この質問、実はすごく答えづらい。若いのか年配か、金持ちか貧しいのか、教養があるかないか、海外生活の経験があるかないかなどによって、同じ中国人でも全く印象が異なる。お金、教育、経歴の有無が、社会的地位にもパーソナリティにも左右する。それが中国。「何を以って中国人と呼ぶか、それによって私の答えは変わります」。結局私はこう答えるしかない。
一括りにして言い表せない中国人。その原因のひとつを説明するには中国近代史に寄り道する必要がありそうだ。
第二次大戦が終結して日本軍撤退後も、中国人の生活は一向に安定しなかった。まず勃発したのが共産党と国民党の内戦。
共産党が勝利し、49年、現在の中国が建国されたものの、その後も大躍進政策の失敗や文化大革命の社会混乱によって、経済・教育制度ともに破綻。ほとんどの国民が近代化に程遠い苦しい生活を余儀なくされる。明るい兆しが見え始めたのはケ小平が権力の座に着いた70年代後半からで、経済行為の自由が認められて、ようやく人の暮らしが豊かになり始めのが、90年代に入ってからだ。つまり、昨今の中国経済発展の歴史はほんの十数年の間の出来事なのである。
西単の裏通りには、とんがり気味の小さなお店が軒を連ねる。

そしてその展開は、まるで何もない谷に滝の水が流れ込むような、日本で言うなら、明治維新と戦後の高度成長とバブル景気が一挙に押し寄せたかのような、4千年の歴史上未曾有の大激変なのである。そして新しい価値観の流入に、伝統的な考えがなすすべもなく崩れていく現象が続いている。そして、すべて統制され耐え続けてきた「夜明け前」世代と、あふれる物と情報の中で育った現代っ子の間には、どうしたってジェネレーションギャップが生じる。
では、このギャップがどのくらいなのか。それを表すおもしろい発言を、中国人男性と結婚したとある日本人女性がしたことがあった。
「夫は私より私の母と話が合う。彼はまだ30代だけど、物のない時代に育っているから、母と価値観が同じ」。

エクステンション(付け髪)をしてくれるお店。奇抜なカツラも並ぶ。
個人によってばらつきがあると思われるが、もし彼女の話を基準としたなら、中国の30代の意識は日本の50〜60代に相当していて、彼女にしてみれば、若い頃の父親世代と一緒にいる感覚かもしれない。さらに置き換えるなら、今の中国の中学生とその親の意識の差は、日本では10代と60代くらい離れていることになるのかもしれない。それだけ、ここ中国の大都市では世代間に、意識に違いがあるということだ。
当然その差は、生活スタイルや、職業観、人生観にも表れる。中でも我々外国人が一番に実感するのが、男女の愛情表現だ。街を歩けばあちこちで人目もはばからず抱き合うカップルたちに出くわす。適齢期の男女に限らず、制服を着た学校帰りの高校生同士さえそのその調子で、親密ぶりに思わず呆気にとられるほどである。
日本でも人気のクレープ店は、去年北京に進出。
親密な様子の中国人カップル。
もともとスキンシップ好きな上に、思いつめると目の前のことしか見えなくなりがちな中国人なのだが、ここまであっけらかんとして二人の世界を繰り広げてくれると、結婚前の男女交際をタブー視し、夫婦以外の男女が同じ部屋に寝泊りするのを法律で規制していた時代があった事実を疑いたくなる。 そんな様子を見て、彼らを育てた母親や祖母たちは嘆く。「仲がいいのはいいけれど、男女がべったり街でくっついているのを見るのは気持ちよくない。
いつの間に世の中こんなに変わったんでしょう?外国もみんなああなの?」50代の中国人女性がため息混じりにふと漏らした。映画「初恋の来た道」でチャン・ツーイー演じる主人公のような、楚々とした中国人女性の愛情表現は、大都市を見る限りでは遠く過去のものになった感がある。
男女交際は氷山の一角。生活をとりまくあらゆる事項について衝突する親子は少なくない。何もかもをなぎ倒す勢いの経済発展の濁流の中で、価値観のずれに戸惑いながら、必死にその流れに乗ろうと、もがく中国の人たち。その姿はかつて同じ道をたどってきた私たち日本人の姿に重なる。彼女らがこれから直面する苦悩は、ますます私たちと似てくるのかもしれない。

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