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米村美樹子氏 天天向上勇往直前! 上を向いて歩こう〜龍の国の女性たち
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第3回 中国外交エリート予備軍の横顔

はっきり言って中国は、今世界で一番の“熱点(注目の場所)”だ。世界のあらゆる国からある人は成功を、ある人はお金を目指して押し寄せる。私が外国人として行動しているのも理由だけれど、北京で外国人を見かけない日はほとんどない。とは言うものの、どれだけの中国人が外国人と交流しているのかと問えば、その確率は13億分の・・・相当少ないだろう。なにしろ、外交官の卵たちでさえそれほど多くの外国人に囲まれて成長しているわけではないのだから。

黄砂にかすむ北京の風景。今年はここ数年にないほどの黄砂の当たり年。

中国外交学院という学校がある。文字通り、将来の外交官や外交政策に携わる人材を育成する学校で、少なくない学生が外交エリートとしての道に進む。先日この学校の学生たちと日本人留学生の交流会に、参加させてもらった。英語圏の学生との交流はそこそこあるらしいのだが、学院の規模がそれほど大きくないがために、それ以外の言語を母国語とする人たちとの交流はきわめて少ないようである。
そこで去年、北京大学の日本人留学生が中心になって外交学院の学生たちとの交流会をスタートさせ、今年も日中合わせて百人以上が参加してディスカッションやゲーム、クイズなどを通して交流を深めた。
参加した日本語学習歴4ヶ月の中国人学生CくんとLさんは、今までほとんど接する機会がなかった日本人に興味津々。

私に向かって次々に質問を浴びせかける。「DVDで90年代の日本の恋愛ドラマを見るのが大好き。日本の恋人たちはあんなにロマンチックなの?」「日本ではどんな職業につくのがいいとされているの?」「今一番日本で人気のある男性の俳優は誰?」など、バリバリのエリート教育を受けているとは思えないくったくのないかわいい質問が続く。彼らの日本人に対する幻想を打ち砕かないようにしなければと思うものの、具体的に率直に話をしたがる性格なので、果たして私の回答が日本人のイメージアップにつながったかはいまだ疑問だ。
「日中関係の改善に、若者の交流はどんな貢献ができるのか」というテーマで行われたパネルディスカッションの中で中国人学生の発言にこんなのがあった。「関係悪化の原因は、お互いの交流がなさ過ぎること。どちらも国民の多くが思い込みで相手を判断している」。

会場での使用言語は95%が中国語。パネルディスカッションでも日本人学生が中国語で意見を述べる。

これは日本に行った、または日本人と接触した中国人、そして反対の立場の日本人のほとんどが感じていることだ。実際東京にいた頃を思い出してみたら、日本に暮らす中国人の数は推定30万人といわれているにも拘わらず、語学学習者以外、私の周囲で中国人と交流があった友人はほとんどいなかったし、仮にここで中国人の友人がいますかと質問してYesと答えて下さる方の割合を予測しても、やはり日本人も直に中国人を理解する機会が少ないように思う。 だから、現地と本国に住む人の間に意識の温度差が生まれる。
去年中国でデモが起こったのは事実だったが、生命に関わるくらいの危機だったかというとそうでもなく、逆に心配して気を使ってくれる中国人の方が多かった。これは現地にいないと実感できない。悪者の日本軍人が出てくる戦争映画ばかり見ていた中国人留学生が日本に行ってみたら周囲によくしてもらって、「鬼子(日本人の蔑称)はいなかった」と感じた衝撃もきっとこれに近いと思う。

新疆ウイグル自治区に伝わる民族舞踏を踊る中国人学生。一口に中国と言っても、文化は千差万別だ。
同じグループの中国人の女の子だちと。このあと参加者総勢百人での記念撮影。中国では散会前に全員撮影が定例だ。
日中友好の寄せ書き。参加者は日中全人口の14億分の100だが、0ではない。最初はそれが大切。

メディアなど間接的に得る情報は間違いがなかったとしても、多面的とは言い切れない。肌で感じる空気感もなかなか描ききれない。そして特別だからテレビに映り、記事になる。世界中そうならない出来事のほうがはるかに多いという事実を多くの人が忘れている。特にそれが鮮明な国が、日本にとっての中国で、中国にとっての日本なのかもしれない。
ちょっと話を外交官の卵たちに戻そう。いくら将来を嘱望されているエリート予備軍と言えど、彼らも普通の若者。クイズの回答に一喜一憂し、浴衣姿の日本人女子学生の日舞に好奇心いっぱいの視線を向ける。日本の同世代に比べてはるかに自分の気持ちに素直で、物怖じせず、見ていてすがすがしい。日本人の若者がどこかに置いて来てしまったものを彼らはまだ大事に自分の中ではぐくみ続けている。私が中国人学生と接していて心地よいのはそののびやかさだ。彼らに囲まれていると、自国では人目を気にして物を言わない日本人も、素直に自分をぶつけていかざるを得なくなる。我々にとっても彼らとの接触は自分を発信する力を養うよいきっかけなのだ。
隣の国の人たちの気さくで豊かな表情を憶測するには、活字やテレビだけでは限りがある。先入観を持つ無意味さと、気持ちに素直であることの大切さを、外交官の卵たちが再認識させてくれた。

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