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米村美樹子氏 天天向上勇往直前! 上を向いて歩こう〜龍の国の女性たち
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第5回 怪物番組からのぞく中国人気質

超女は「想唱就唱(歌いたければ歌え)」「粉糸(フェンスー=ファンの意味)」「PK(1対1の勝ち残り対決)」など、多くの流行語を生み出した。

 深夜のテレビ観戦のおかげで中国人の集中力が低下し、労働生産力にも影響…なんて報道が頻繁になされたワールドカップ期間中。優勝国が決定し、ようやく中国人がテレビから離れる…と思ったら大間違い。昨年中国全土を熱狂させた怪物番組が今年もこれから佳境に向かうからだ。その番組の名前は「超級女声(Super Girls)」、通称“超女”。中国No.1歌姫を決定するオーディション番組だ。
 イギリスの「Pop Idol」、アメリカの「American Idol」のオーディション番組を下地に一昨年始まったこの超女についてまず説明したい。長沙、杭州、成都、瀋陽、広州の5都市で地方予選が行われ、そこで勝ち残った各地の代表3人ずつが本選に進む。予選とはいえ、13億の人材を抱えるこの国のこと、各地のトップ10に選ばれた時点で既に相当の実力者ぞろい。さらにそこからふるいにかけ続け、最終的にはチャンピオンを決定するのである。この地方予選から決勝までの約3ヶ月間、カメラは大会出場者に密着、ステージで歌う様子とともに、彼女らの家族や友人のメッセージビデオをどんどん流す。

おまけに毎週敗者が決定するため、別れの涙が歌声と感激と一緒に番組を彩る。トレーニングを積み、みるみるプロ顔負けに成長する彼女らを、ドキュメンタリー形式で見てきた視聴者も、この演出でいっそう思い入れ深くなってしまい、テレビの前から離れられなくなってしまう。さらに携帯電話のショートメッセージを利用して直接視聴者が投票し、それが選考に大きな影響をあたえる。実に巧妙な番組である。
また、ひとりの外国人として視聴するなら、現代中国社会の実情と中国人の気質というのがよく伺える興味深い番組でもある。
  予選オーディション参加者の中には都会に出稼ぎに来た素朴なウエイトレスもいれば、会場まで何日もかかる辺鄙な場所から民族衣装を身に着けてやってきた少数民族の女性たちもいる。その一方、オーディション受けたさに移民したアメリカからやってきた女の子も、ウィーンに音楽留学経験のある女性もいる。日本のオーディションではありえない参加者の幅の広さである。
 となれば、番組でインサートされる応援メッセージビデオも各種各様のはずなのだが、こちらは幼少期の貧困や家族が苦労して娘を育て上げた話が多く、歌唱力、ルックスとも兼ね備え、一心にチャイナドリームを目指す歌姫候補たちがステージ上で泣いていない放送日はない。ついこの間まで、いや、今でも豊かでない人の多い社会なのだと実感する。

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ボーイッシュな魅力の昨年度チャンピオン・李宇春。広告でもひっぱりだこの人気者。

すっかり浸透した携帯電話のショートメッセージ。超女はこれを巧みに利用している。

 そしてもう一つ。この番組が中継されるスタジオには、彼女らの家族や友人、ファンが陣取って大声援を送り、時にマイクを持って自らの言葉でエールを送るのだが、いつもこの堂々とした対応ぶりに感心する。 
「私の娘は誰より一番素晴らしい。どんなことがあっても、私はお前を支持するからね」と母親が立ち上がりステージ上の娘に向かってマイクを持って言えば、娘も「ありがとう、お母さん。とても愛しているわ」と返す。

どの親子も双方とも臆することなく、その言葉は力強い。大勢の前で自分の身内を褒めたたえ、家族に対して「愛している」と率直に言える関係がこの国にはあって、それが彼女らの才能を開花させたのだと思うと、褒める行為はコミュニケーションと教育上重要なのだと改めて認識する、その一方、謙虚さを重視する文化とはいえ、日本人は親も子もあまりに身内を褒めなさ過ぎるのでは?と反省するのである。
 互いの理解を深める上で、娯楽映像ソフトの役割は大きい。「超級女声」は今の中国を知るコンテンツとしてはなかなかおもしろい。ついでに、この番組はWEB上でも鑑賞可能。こんな簡単にインターネットに流れてしまうのも、著作権があやふやな中国らしくもある。

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