女性の社会貢献・魅力的な自分づくりを応援する それいゆ
トップページ それいゆについて それいゆ入会方法について それいゆセミナー それいゆインタビュー それいゆコラム メールマガジン それいゆ書籍紹介 リンク集 お問い合わせ
navigation_kage
それいゆコラム
米村美樹子氏 天天向上勇往直前! 上を向いて歩こう〜龍の国の女性たち
トップページ 第1回 第2回 第3回 第4回 第5回 第6回 第7回 第8回 第9回 第10回 第11回 第12回
第6回 北京と上海・二つの都

 中国には“日帰り出張”という言葉がない。新幹線で3時間移動する程度では出張とは呼ばず、せいぜい東京から横浜に行くくらいの感覚になるらしい。何しろこの国の面積は日本の約26倍。簡単に帰って来られない場所に行って初めて出張なのである。
 北京と上海。日本から見たら同じ国にある大きな都市に間違いないが、たった3時間の東京―大阪間の移動でさえ東西の文化の差を感じるわけだから、列車での移動11時間のこの二つの街の間に違いがないわけがない。

北京の下町の風景。将棋盤の周りはいつも社交場だ。
 先日もタクシーに乗ったら、おしゃべり好きな北京っ子の運転手が「北京の友達はみんないいやつばっかりだろ?北京っ子は情が深いんだ」と北京気質の自慢を始めた。確かに北京の人は義理人情に厚い。金勘定を度外視して人と付き合ったり、率直に感情をぶつけてきたりと、いわゆる江戸っ子に似たところがある。
  「SARSが流行していた時期、『こんなところで外国人の君を巻き添えにすることはできない。北京を離れるなら空港まで送っていくから』と馴染みの中国人運転手に言われその言葉に従ったのだけれど、車を降りたところでお金を払おうとしたら頑として受け取りを拒否された。そこでますます北京が好きになった」という、ある日本人女性の体験談が思い出される。
 先日もタクシーに乗ったら、おしゃべり好きな北京っ子の運転手が「北京の友達はみんないいやつばっかりだろ?
北京っ子は情が深いんだ」と北京気質の自慢を始めた。確かに北京の人は義理人情に厚い。金勘定を度外視して人と付き合ったり、率直に感情をぶつけてきたりと、いわゆる江戸っ子に似たところがある。
  「SARSが流行していた時期、『こんなところで外国人の君を巻き添えにすることはできない。北京を離れるなら空港まで送っていくから』と馴染みの中国人運転手に言われその言葉に従ったのだけれど、車を降りたところでお金を払おうとしたら頑として受け取りを拒否された。そこでますます北京が好きになった」という、ある日本人女性の体験談が思い出される。
老北京の面影が色濃い北京式の長屋・胡同(フートン)。

そんなお金に執着しない街だから、財産の有無は人の価値を測定するものさしにはなり得ない。未だ海のものとも山のものとも判断がつかない作家や画家、ミュージシャンの卵などの温床になるのも北京。長らく皇帝のお膝元だっただけあって、芸術文化に関して寛容な土地柄である。
  さて、話を私を乗せたタクシードライバーに戻す。彼はひとしきり北京っ子自慢をしたあと、なぜか話題を上海に向けた。そしてこう続けた。「俺は上海人が大嫌いだ」。
 上海人が大嫌い―――。北京に限らずその他の出身者がよくこの言葉を口にする。中国人は日本人嫌いと思われているが、むしろ同じ国籍はずの、上海人嫌いのほうが多いんじゃないかという気さえする。実際中国人の嫌悪は、外国人に対してより、同胞内での異質な存在に対する感情のほうが上回るものらしい。では、なぜ上海人はそうまで同じ中国人から嫌われるのだろう?

 租界時代の面影を残す外灘(バンド)と対岸の浦東が織り成す夜景、陽光を受けて輝くアジア屈指の摩天楼、その間を行きかうおしゃれな上海女性、中国にいることを忘れてしまいそうなほど嗜好を凝らした洋菓子の数々――。上海は、現時点の中国にあってグローバルスタンダードと伝統的美意識が融合した、突出して洗練された存在感を示している。そして、多くの企業が中国進出の足がかりに上海に拠点を置く中国経済の中心でもある。
  90年代本格化した経済の改革開放の牽引車に上海が選ばれたのには理由がある。上海人の敏感なビジネスセンスと新しい情報に対しての柔軟性である。外国から入る情報に対し、大半が懐疑的で腰が引け気味の中国人の中で、上海人は道理に適い、収益につながるのであれば積極的に食指を伸ばす。 

上海を代表する風景・浦東。毎日観光客でにぎわう。
街を闊歩する上海女性たちは、プライドが高いことでも有名。

  「中国人は誇り高くて謝らないので有名だけど、上海人は商売のためなら土下座までするよ。」以前、日本の駐在員からこんな話を聞いたことがあった。その貪欲さや計算高さ、上海以外のよそ者を寄せ付けない仲間意識が、他の中国人から距離を置かれる原因なのだろう。
  こう書くと、上海人を疑ってかかりたくなるのだが、一定の規定を設けてビジネスをするのだとすれば、日本人にとって上海人は最も組しやすい中国人と言われているようだ。入り組んだ小路に軒が連なる上海の下町の風景は、日本人に共通する繊細な感覚にもつながるようである。実際、日本への留学志向が高いのは北京より上海だし、あからさまに日本が好きだと言う人の確率は上海の方が多い。私自身、上海に行くと、北京にはない“収まりの良さ”を感じるのも事実だ。
  それぞれの土地の気質は、そこに住む日本人にも影響を与えている。次回は、二つの街在住日本人女性たちを通して都市の横顔を紹介したいと思う。

米村美樹子さんのコラムの感想やご意見などは、メールの表題に「米村美樹子さんへ」と書いてinfo@e-soleil.biz に送ってください。

copyright