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春節間近のスーパーマーケットは
関連商品で真っ赤。 |
「金の豚を産むって何のこと?」と、タイトルを理解できる日本人はほとんどいないと思うので、今回は早速この説明から。
日本にも十二支があり、今年は“イノシシ”年である。ところが中華圏では同じく“猪”または“亥”と書くのに、その意味は“豚”。つまり今年は豚年なのである。では、豚が中国人にとってどんな存在なのかというと、富や財を象徴する縁起のいい動物になり、子供を産むのに適した一年とされているらしい。さらにこの十二支と、十干(甲乙丙丁…)の組み合わせると、今年は60年に一度の“丁(ひのと)の豚”になる。この丁というのが火=赤を表していて、ただでさえ縁起がいい豚年のなかでも特にパワーがあるということで、その年に生まれた子供はお金に困らず、家庭にもどんどんお金が入ってくるとされている。そんな理由から新年を、赤を通り越し「金の豚年」と呼び、中国は今、大出産ブームに沸いているというわけだ。妊娠中の芸能人がクローズアップされる一方、どこの産婦人科も芋の子でも洗うかのような大混雑ぶりで、妊婦の間では肝心の出産時に医者にかかれないのでは?という憶測さえも出ている。
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どこのお店でも干支の“豚”の
マスコットが山積み。 |
偶然、私の周囲の中国人男性と結婚した日本人女性が次々におめでたになり、彼女らに病院がどうなのかを尋ねてみた。
「日本の産婦人科みたいな、幸せ〜って雰囲気は全然漂ってないの。おなかの大きい女性が脚の踏み場もないくらい、長時間行列作ってるんですよ」と答えたのは、Yさん。検診日に義母が診察の整理券をもらいに並び始めたのが朝5時だが、中には夜中の2時から並んでいる人もいたらしい。「整理券を高額で売る輩もいて、警察の取締りが出ていた」(Yさん)というのは、さすが中国である。整理券を受け取っても、即診てもらえるわけではない。さらに行列が待っているのだから、生まれる前から競争にさらされた子供の行く末がしのばれてしまう。
一方、外国人用の診療部を設けている病院に通院するKさんはYさんのような混雑には遭っていないものの、問診と超音波診断だけで800元(=約1万2000円)の受信料に辟易している。しかし、簡単に転院するわけにもいかない。なにしろ市中心部のそれ以外の病室の予約はすでに埋まり、郊外の婦人科に入院するほかないのだから。
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子供たちは、将来の競争を予測
しているのだろうか? |
出産ラッシュの裏には、当然結婚の時期も関係している。
中国でブライダルビジネスに従事する友人からびっくりする話を聞いた。「去年2006年結婚したカップルの数は、2005年の4倍」らしいのだ。この統計数は中国国内の結婚登録所のデータに基づくものだが、たまたま2006年の春節(チャイニーズニューイヤー)が1月29日で、立春(2月3日)より早かったために、「春が二つある年だから」と縁起を担ぎ、さらには2005年の酉(とり)という干支にあまり活力がないという理由がさらに重なって、去年から今年の春節まで結婚式関連の仕事は、息つく暇もなさそうである。
確かに日本人もげんを担ぐのが比較的好きだが、ここまで暦に合わせて幸せを呼び込もうと躍起になっているのには、いささか首を傾げたくなる。ちょっとでも気を抜いたら簡単に割り込みされてしまう中国社会で、少しでも子供を有利な条件で育てたい気持ちは解るとはいえ、出産が多いほど競争が激しくなって、逆に子供が越えるハードルは高くなる気がするのだが。金の豚が本当にお金を呼び込むのか、それともただ消費するだけに終るのか。一つ一つの家庭でそれぞれの違う物語が描かれるはずである。 | |