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マッサージ店の広告が
情報誌の誌面を埋め尽くす。 |
街には土地の気があり、住む人の気がある。今の北京の雑踏は日本の大都市のそれとは違って、通りから一歩奥に入ったときに感じる、驚くような静寂が保障されず、孤独になることを許してもらえないところがある。どこまで行っても逃れられないにぎにぎしさが付きまとい、静かな中でも耳の中に落ち着きのないおしゃべりの余韻を残す。それが時にわれわれ日本人を気疲れさせ、日本の癒しを恋しくさせるのは事実である。
それを知ってか知らずか、中国にはなかなか便利なものがある。まるで日本でコンビニがいとも簡単に見つかるかのように、通りを百メートルもあるけば即こんな文字の看板が見つかる。「 (ズーリャオ=足裏マッサージ)」「 (トゥイナー=マッサージ)」「 (グアシャー=背中や胸をこする健康法)」など。中国伝統の民間医療を施す店だ。足裏か全身か、好みはあるにせよ、私の周囲の女性たちで行った事がないという回答は一人もいない。
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庶民的価格のマッサージ店。
1時間25元と超安価。 |
知る限りの範囲で言うなら、価格は足裏が1時間25〜200元前後(1元=約15円)、全身マッサージが60〜300元程度、一般庶民が住むアパート内の店舗から外国人向けのおしゃれなスパスタイルまでと選択肢はかなり幅広い。現地の情報誌には、どこがどこかわからないくらいマッサージ店の広告を掲載しているし、実際私が通うマッサージ店の両隣も別のマッサージ店で、いささか乱立気味である。
マッサージ店はかなりの粗利の見込める商売だ。ご存知の通り中国の人件費は非常に安価。正確にはマッサージ師の給与は歩合制がほとんどの上、店の取り分が明文化されているはずなので、いい人材を雇えれば、それなりに経営ができる。
その人材確保もさほど困難ではない。レストランのウエイトレスと並んで、田舎から出てきた人間が容易に就ける職のひとつだからだ。以前通っていた足裏マッサージ店の女性は河北省(北京市の隣の省)出身で、北京に来てから足裏マッサージを店の先輩について学んだらしい。
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処方された薬と、レシート。
調合された薬が一目瞭然に。 |
北京には専門の中国医学の学校もあるし、マッサージ学校もあるにはあるのだが、すべてのマッサージ師が学校で訓練されて、免許を取得してからデビューしているわけではないので、業務に従事する人口はあずかり知らぬところで日に日に増え、店の数も増加の一途。一つの産業として中国国内消費の一翼を担っているのである。
さて、もうひとつ、中国らしい疲労回復術の紹介を。ご存知、漢方薬である。中国で医師と言えば西洋医学以外、中国医学も含まれ、病院で薬を処方する際も、西洋医学の薬剤と漢方薬の錠剤が同時に渡されることが少なくない。
とはいえ、本来の中国医学では医師が患者の顔色や脈、舌の状態などから健康状態を判断し、それぞれの症状に合わせ調合する薬草を処方する。
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中国医薬大の医院。
一般の患者にも開放されている。 |
処方された薬草は自宅に持ち帰って煮出すか、薬店で代りに煮出してもらうか。慢性的な疾病のある場合は処方箋さえあれば、病院に行かなくても街の薬店で薬を購入することができるし、定期的に診察に通って、回復の度合いに併せて新たに処方してもらうこともできる。
気になる金額は? 診察料そのものはさほどの金額にならない。しかし薬代は1週間分で150元以上(使用するものによっては1,000元に達する場合も)で、物価と比較して決して安い金額ではない。
「中国は日本のような医療保険がないからね。日ごろ身体に気をつけておかないと、後が大変」と中国人女性Lさんが言う。特に都市化が急激に進み、生活環境が悪化した北京では、背に腹は換えられないというわけだ。
中国人と会話すると、長い歴史を持つ中国医学が一般市民に定着しているのに気づかされる。しかし半面、これまで直面したことのないストレスにさらされているのも事実であり、得がたい生活の知恵が環境によって“相殺”されているのも事実なのだろう。 |
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