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それいゆインタビュー
それいゆ会員 INTERVIEW ひまわりの花咲くころ
西山 由香さん (Yuka Nishiyama)西山 由香さん
サントリー株式会社勤務の西山由香さんは、現在広報部に所属し、ウイスキーのPRを担当している。「誰かがウイスキーを美味しそうに飲んでいる姿を見ると、とても嬉しく思います」。ひとつひとつ語句を選びながらゆっくりと発せられる言葉の合間には、自社製品に対する深い愛情が溢れていた。
力を蓄積してくれるお酒

 ワイン、ビール、焼酎、カクテル、日本酒等々、世にはお酒と称される飲み物が数多く存在する。だが、その中でもウイスキーは「特別な個性を持っている」とのこと。
 「たとえばビールは、仲間と盛り上がったり暑い日に飲んだり、どちらかと言うと発散するためのお酒。それに対してウイスキーは、一日の終わりに明日への活力や安らぎを与えてくれるお酒、蓄積してくれるお酒なんです」
 西山さん自身、毎晩必ず寝る前にウイスキーを飲んでいるのだという。忙しく仕事をこなす緊張感からなかなか解放されず、寝付けないような夜でも、ほんの少しのウイスキーがおまじないとなり、ぐっすり眠ることができるのだとか。
 「ウイスキーは、ワインやビールと違って一本全部飲まなくても済むし、糖分がほとんど含まれていないので歯磨きした後に飲んでもそのまま寝られます。この話を聞いた知人からは、『それって、あなたが如何にものぐさかがわかるエピソードね』と笑われましたけど…」
 蓄積のお酒、ウイスキーが持つもうひとつの個性は、カウンターで飲むというスタイルが似合うこと。
 「お酒って、人と人との距離を縮めてくれるもの。特に、カウンターに並んでお酒を傾けるというシチュエーションは、その相手との間に絶妙な距離感を与えてくれると思います。至近距離に座ってはいるものの、面と向かって話をする訳ではない。熱燗やビールのように『注ぎあう』という行為も不要。こんな状況がいつもとは違ったコミュニケーションをもたらしてくれるのではないでしょうか」

蒸溜所に流れる別の時間軸

 西山さんがウイスキーに対して特別な思いを抱くようになったのは、研修で蒸溜所を訪れたことがきっかけ。それ以前は「仕方がなく飲むお酒というイメージしかなかった」と笑う。
 「自分と同い年のウイスキーが、樽の中でひっそりと熟成を待って眠っている姿を見て、心が動きました。そこには、普段の自分の生活にはない、別の時間軸があるように感じて…」
 「今、自分が手掛けているウイスキーを商品として売り出すときに、自分はここにいないかも知れない」という、蒸溜所で働くチーフブレンダー(ウイスキー原酒の味、香りを利き分け、品質を管理する人)の言葉にも心を打たれた。10年、20年ときには50年後を見据えた物作りに真摯に取り組む職人たちの姿、日本で初めてウイスキーを作ったという誇り、そしてそれを受け継ぐ伝統。
 「世の中のスピードが加速度的に速くなっている今の時代に、そういう物作りをしている人って少ないのではないでしょうか。その作り手の声を聞きながら、そして思いを馳せながら飲むというのもウイスキーの楽しみのひとつだし、世の中とはまったく異なる時を刻む『熟成』という工程を経て生み出されるからこそ、ウイスキーは人に力を与えてくれるのだと思います」

大人のお酒として

 「人って、40歳前後を迎えるといい意味で安定すると思うんです。そういう心の余裕ができたときに、人とのつきあい方やお酒の楽しみ方も新たな拡がりを見せるのではないかと…。そんな時を迎えた大人たちに、ぜひウイスキーを飲んで欲しいですね」と語る西山さん。「少し前までは、安定とか落ち着くとかいう言葉をネガティブなイメージで捉えていたんですが…」と言葉を続けた。
 「以前は1日36時間欲しい! といった感じで走り続けていたんですが、最近はそうでもなくなりました。もっと長い軸で物事を考えられるようになったし、年を重ねることが良いことだと思えるようになって…。ウイスキーの良さをわかってもらうには、まだ少し時間がかかるとは思いますが、それを見届けるまで、じっくり頑張りたい。ウイスキーだからこそ演出できるシーンを作って、提供していきたいと思っています」

 入社時に訪れた蒸溜所で、見たもの、聞いたもの、感じたものを身体に染み込ませた西山さんは、宣伝や新規業態開発などの業務を経験することでそれらを熟成させ、今まさに広報という形で世の中に届けようとしている。
 そう、長い時間をかけて熟成したからこそ醸し出すことのできる「味」があるのだ。酒も人も…。
コラム

◎サントリー株式会社 ウイスキー蒸溜所ホームページのご紹介
「工場見学へ行こう」

◎私のお薦めのBAR
銀座「日比谷BAR WHISKY-S」

「一日の締めくくりに自分だけの時間を過ごすために、ちょっとBARへ足を運んでみませんか?「日比谷BAR」は、銀座を中心に20店舗以上展開しているチェーン店ですが、その中でもここはその店名が表すように、特別ウイスキーにこだわっているお店です。店員の方たちもとても勉強熱心なので、いろいろと教えてくれます。そしてウイスキーを飲みながらの読書はいかがでしょう? お薦めはジュンパ・ラヒリの「停電の夜に」。いつもの明かりが突然なくなることによって見えてくるものを繊細に描き出している作品で、短編集の書籍タイトルにもなっています。ラヒリは、私の大好きな小説家の一人です」

◎私のストレス発散方法
=車を運転すること

「時間があるときには河口湖までドライブしたり、三崎に行ってお寿司を食べて帰ってきたりしています。元々車を運転すること自体が好きなので、周りが皆寝ていたとしても苦にならないタイプです。夜中に突然、目指す場所を特に定めずにハンドルを握ることもあります」

◎私のストレス発散方法
=車を運転すること

「ブームということもあるのかもしれませんが、最近やたらと和へのこだわりが強くなりました。今年に入ってから書道をふたたび習い始め、墨の香りに癒されています。年賀状も、お相手の宛名と自分の名前くらいは自筆で…と思い、時間をかけて筆で書くようにしています」


編集後記

西山さんお薦めのお店、「日比谷BAR WHISKY-S」にお邪魔してのインタビュー。終了後、久しぶりに「山崎」をいただきました。お酒の味って、言葉ではなかなか言い表しきれないのに、身体が覚えているもの。その懐かしい感覚は、遥か昔の切ない恋を思い出させてくれました〜。

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