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それいゆインタビュー
それいゆ会員 INTERVIEW ひまわりの花咲くころ
斎藤 由美子さん (Yumiko Saito) 斎藤 由美子さん
昨年夏、30年以上に渡る看護師人生にピリオドを打った斎藤由美子さんは、看護師長のネームバッチを外し、28年間勤めた病院を去ったその日から、接遇インストラクターという新たな道を歩き始めた。「1年間は仕事をしない」と決めて過ごした充電期間を終え、今まさに新しい世界に向け、大きく羽ばたこうとしている斎藤さんにお話を伺った。
チャンスを生かす

 斎藤さんが初めて患者応対について人前で話す機会を得たのは3年ほど前のこと。病院内で最もクレームが多いと言われる外来に配属されたことを機に、新人の医師、看護師、検査技師などに対して1時間の講演を行ったのが、最初だ。
「そのときはまだ何も勉強していなかったので、全くの自己流でお話しました。でも、初心者ほど怖くないんですよね。受講者の感想文に書かれた私への賞賛の言葉を読んで、すっかり満足して、その気になってしまって・・・」と笑う斎藤さんも、このときはまだ「まさか本業にするとは思ってもいなかった」という。
 その後、「接遇インストラクターのNo.1」と評される日総研の高橋啓子氏のセミナーを始め、マナースクールなどに通って知識を深めた。病院に辞表を提出したのは「接遇インストラクターについて学んだという、せっかくのチャンスを生かさなきゃ損。60歳には、独立していよう」と決意したからだという。
「人は、地位や職業などに関わりなく、みんな平等に年をとります。私もいずれは定年を迎えるわけですし、それから『どうしようか』では遅い。逆算して動かなければと考えていた頃でした」と語る。
 「ハード、ソフト、両方が充実して合格点というこの時代に、自分がサービス業に従事しているという自覚を持っていない医療従事者も少なくありません。たとえば、医師の話し方ひとつにしても、患者を見下すような傾向がいまだに残っています。そんな人たちに、かつての同僚として私が話すことで、何かのきっかけを与えたいと考えています」

準備を重ねる

 斎藤さんは最近、サービス介助士の資格を取得した。サービス介助士とは、NPO法人「日本ケアフィットサービス協会」が認定する民間資格で、入浴・排泄・食事の介助技術を必要としない、比較的元気な高齢者をサポートする人材を育成するためのもの。検定試験に合格するには、接遇・介助技術に関する知識と技能のほか、医療に関する知識も必要とされる。
「自分のやってきたことがまさに全部生かせるし、接遇インストラクターのお仕事とも相乗効果があると思い、資格を取得した」という斎藤さん。10月からは、サービス介助士資格取得講座の講師を務める予定で、これはなんと資格取得以前に決まっていた話だという。
「資格の内容を問い合わせた専門学校からお誘いがあり面接を受けたら、教育担当の方が『できる』と錯覚してしまわれたようで・・・」と謙遜するが、このような幸運には、そうそうめぐり合えるものではない。この話以外にも病院からスーパーバイザーとして招聘されるなどさまざまな依頼が入り始め、「気味が悪いくらいに予定通りに動いている」と自ら語る現状を、斎藤さんは「小笠原流礼法や白井幸子氏の交流分析など、いつか役に立つかもと思って数年前から準備してきたことが、ここに来て形になったような気がします」と分析している。
 「人生はすべて、準備とチャンスの繰り返しだと思います。特に私の場合、『あれがだめだったからこっち、これがだめだったからあっち』ではなく、目標を決めて逆算して動いたのがよかったのではないかと・・・。そのことが自分の中で他人にはわからない自信につながっているのです」

目標を持つ

 「目標をきちんと決めておけば、多少雨が降ったり、嵐が来たりしても、それはそれとして受け止められるのではないでしょうか」という斎藤さんは現在、「1年以内に、主として医療従事者向けの接遇マニュアル本を出版する」、「60歳で会社を設立する」ことを目指している。「1、2年後の自分がどうなっているのか、とても楽しみ」なのだという。

 『それいゆ』会員の中では人生の先輩にあたる斎藤さんに、「後輩へのアドバイスをください」と前置きをしつつ、聞いてみた。
----準備が大切とのお話でしたが、何を準備していいのかわからないで迷ったり、探したりしている若者がたくさんいると思うのですが?
----答えはひとつ。人の役に立つか、立たないか・・・が大事な基準でしょうね。どんなにお金を儲けていても、人の役に立っていない仕事に就いている人は満足できていないと思います。年をとっても人の役に立てるかと思うと、人生が楽しいでしょ? だからおばあちゃんになっても、第一線できびきびと仕事をしていたいですね。

 「私の知人に、92歳で会社の代表を勤めている女性がいるの。それを考えたら、私なんてまだまだ『ひよっこ』でいいでしょ?」と少し悪戯っぽく語る斎藤さんの笑顔は、とても眩しかった。
コラム

◎私が最も充実感を得られるとき
=能鑑賞をしているとき

中学生の頃教育テレビで見たお能に訳もなく惹かれて以来、一番気持ちが落ち着くひとときになりました。自分を見つめなおす時間として大切にしたいので、お能鑑賞は(クラッシックやオペラもそうですが)一人で行くことにしています。指の動きひとつにも意味があり、あんなに素晴らしい芸術はないと思っています。

◎『それいゆ』に入会した理由
=様々な講師の方の生の声が聞けるから

小規模な働く女性の集まりだという点に惹かれて入会しました。大人数のセミナーだと、なかなか講師の方と直接お話できないので・・・。私は何かのセミナーに参加するときは、必ず30分以上前に会場に着いて、一番前の席に座るようにしています。講師の方と目を合わせてお話しを聞き、できれば私のことを覚えてもらいたいからです。

◎『それいゆ』に期待すること
=大阪や京都の会員を集めて欲しい

私は山形出身の東京人ですが、関西の方はストレートに感情を表現してくれるなど、物事の捉え方、発し方が東京の人と少し異なるように思います。関西方面に限らず、違う地域の人と交流することによって、良いアドバイスや刺激を受けることができると思うので、日本全国『それいゆ』のメンバーが増えれば・・・と願っています。


編集後記

取材を終えて駅までの道を二人で歩いていると、ティッシュ配りの女性と遭遇。斎藤さんは笑顔で「どうもありがとう!」と声をかけて、ティッシュを受け取っていらっしゃいました。
こういう心遣いって、なかなかできないものです。一緒にいた私でさえ、気持ちが明るくなったのですから、あのティッシュ配りの女性は尚更でしょう。
「人の役に立つ」って、こういう小さなことの積み重ねなのかも知れませんね。

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