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それいゆインタビュー
それいゆ会員 INTERVIEW ひまわりの花咲くころ
継枝 幸枝さん (Yukie Tsugueda) 継枝 幸枝さん
ファッションデザインからパターン(型紙)作成、素材料の仕入れ、縫製工場との折衝、接客、販売まで一人でこなし、大学や専門学校の講師としても活躍しているという継枝幸枝さん。「趣味は仕事。24時間365日営業中です」とフル回転の継枝さんに、オートクチュリエールという仕事にかける意気込みを伺った。
服は人のためにある

 「オートクチュール」と聞くと、どんなイメージが浮かぶだろうか?「オートクチュールショートケーキ」「旅のオートクチュール」などその言葉自体は身近になったとはいえ、ファッションの世界においては一般に「高級仕立て服」と訳されており、高嶺の花と思っている人も少なくないだろう。
 実際、継枝さんの顧客には、政・財・官界の女性や芸能人なども多い。だが継枝さんは、一般の働く女性たちにもオートクチュールの素晴らしさを理解してもらって、利用してもらいたいと考えている。
 「ニューヨークやパリの女性たちに比べて、日本女性のおしゃれは遅れていると思っています。目立つことはよくない、みんなと同じことをしていたほうが安心という気質がファッションにも現れて、どうしても流行に左右されてしまうようです。自分らしさを持つ人が増えてきてはいるんですが、まだまだ少ない。私は世の普通の女性たち、これからどんどん活躍していくであろう女性たちを、もっともっと美しく魅力的にしたい。それが自分の仕事だと思っています」と語る。
 継枝さんは、魅力的な女性になるためのポイントは「自分らしさを持ち続けること」であり、そのためには自分をしっかり見つめて、自分だけの魅力、生き方、能力などを磨いておく必要があると考えている。そして、そういった内面をサポートする大事な道具として洋服を捉えているという。そのためデザイン上最も重視するのは「その人に似合うかどうか」であり、流行ではない。「服は人のためにあるもので、服のために人がいるわけではない」を信条とし、本当に似合う洋服を提供するためには自分自身のデザインを否定することにも憚らない。
 「ひとりひとりのための洋服、その人の生き方、考え方に合った洋服を提供する。その洋服を身に付けることでその人の魅力が引き出されて、より美しく輝いて見える洋服を提供することが、私のコンセプトです。もちろんその人の体型にぴったり合った最高のバランスの洋服が出来上がりますので、実際より痩せて見えます」

小学生のときに自分の洋服をアレンジ

 継枝さんは武蔵野美術短期大学を卒業後、デザイナーズブランドのチーフデザイナーを経て、株式会社継枝幸枝を設立、それ以降「チャネルを通さないアトリエ受注システムにより驚くほどリーズナブルな価格で提供する」ワークスタイルを現在まで貫いている。元々独立志向が強く「アパレルメーカーへの就職はノウハウを積むためのもの、いつかは自分のブランドでファッションショーを開くようなデザイナーになる」と学生のころから考えていたという。
 デザイナーになりたいという夢を持ったのは中学生の頃。だがその才能の片鱗は小学校時代に現れていた。
 「小学校2年生のころには、親に買ってもらった既製服に満足できず、自分で切った布や紙をアクセントとして糊で貼って、おしゃれした気持ちを楽しんでいました」
 既製服のアレンジは、中学生になってますます大胆になっていく。
「洋裁もわからないのに、適当に縫ってみたり、留めてみたり、ほどいてみたり…。生地を買ってきて床に拡げ、印もつけずにはさみで裁断して、翌日身に付けて歩いていたというエピソードも残っています」
 いくら街を歩いても自分が着たい服を見つけられないのであれば作ってしまおうという、ある意味単純な発想で始めた「デザイン」。それが「ファッションデザイナーになる」という明確な目標に変化したのは、その「デザイン」と同じものが1、2年後に既製服として市場に出回るという体験を何度かしたからだ。
「子供心にも私にはデザインの才能があるのではないかという気持ちが芽生えて…」
 継枝さんの「その人に本当に似合う、その人のための一着を作る」というコンセプト。その原点は、自分が納得する洋服を自分の力で作ったという少女時代の貴重な体験にあったのである。

女性の可能性を引き出す継枝マジック

 「洋服の持つ可能性は皆さんが考えている以上に大きいんですよ」という継枝さん。洋服は魔法のようなもので、新しい仕事をゲットしたり男性を口説き落としたりするためのしかけや、他人にカリスマ性を感じさせるためのマジックを仕込むことができるのだという。
「相手から見られたときに、その面積の大部分を占めるのが洋服です。おしゃれをして自分を上手にアピールする。女性は男性よりも洋服で個性を出しやすいのに、その利用できるアイテムをフル活用していない人が多く、本当にもったいないと思います。女性にはあらゆる可能性が秘められているのに…」と語る。
 継枝さんは出身地である岩手県盛岡市で、1999年から5年間に渡り計10回のファッションショーを行った。その際にモデルとして起用したのは、お客様。プロのモデルではないごく普通の女性たちが美しく輝いている姿を見て、「女性は変われる。たとえ背が低かろうが、太っていようが素敵になれる。女性にはあらゆる可能性がある」ということを確信したのだという。
 「ですから日本の女性たちには、もっともっと自分を磨く努力をして欲しい。でも内と外、両方を磨いていかないとその人の魅力は完成されません。どちらが欠けてもダメなんです」

 「自分を磨く努力とは、向上心そのもの。そういったひとりひとりの努力が世の中を少しずつ変えていくと思う」
 継枝さんのこの言葉は、もはやオートクチュリエールの域を超えたところから発せられているように感じる。
「もっと、もっと輝ける。自分らしさを持って、内も外も磨くことでもっと素敵になれる」
 そんな継枝マジックをかけてもらいたいと望む女性が今後ますます増えていくのは、間違いないだろう。
コラム

◎オートクチュリエール ユキヱ・ツグエダ アトリエサロン
お願いするデザインやその人の体型などによって異なるが、継枝さんに洋服を作ってもらう流れはおおよそ次のようになっている。
まずは訪問日を予約。アトリエサロンは完全予約制なので、必ず電話かメールでアポイントメントを取ってからお邪魔しよう。
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そして当日、アトリエサロンに用意されているサンプルを30着近く試着しながら、その服にピン打ちするなどして、本当に似合う形を探していく。プラス、ライフスタイルや好み、考え方などをヒアリングして、デザインや素材、色を決定。その後は、場合によっては仮縫いが必要となるが、引き取りまで楽しみに待つだけでOKだ。
気になるお値段はTシャツやセーターが2万円〜、スカートやパンツが3万円〜など。さらにはスーツやコート、ドレス、ウェディングドレスまで女性の着るものであれば何でもお願いできる。素材やデザインなどによって価格は異なるので、予算と相談しながら世界にひとつしかない宝物を手に入れよう。

◎『それいゆ』会員へのメッセージ=「自分らしさを見つけて欲しい」
自分らしさを持つためには具体的にどうしたらいいのか聞いてみた。
「さまざまな情報が溢れる現代においては、選択する目がとても重要になってきます。情報の中には間違ったものもありますので、そういった情報に毒されずに、本当に自分が何を求めているのかを追求することが必要です。そのためには、情報をある程度遮断する訓練を少しずつやるべきではないでしょうか。10代や20代前半は来る情報は拒まずでもいいでしょう。20代までに情報の良し悪しを判断する学習をして、30代になったら情報を選択する目を持つ。そして40代になったらすべてを遮断するくらいでないと…。なかなか情報を遮断して生きていくのは難しいですが、そう心がけることが自分らしさを持ち続けることにつながると思います」


編集後記

オートクチュールのアトリエサロンなんて行ったこともない私。「いったい何を着ていけばいいものやら」と、前日からいろいろ着せ替え人形してみたものの、「やっぱ太っちゃったから何を着てもどうしようもないな」という結論にいたっておりました。
インタビューでは、そんな私の向上心の無さを見抜かれたかのように厳しいお言葉が次から次へと…。でも全く気分を害することなく、それどころか不思議なくらいすっきりとした気持ちで帰れたのは、継枝さんの持つ魅力の賜物だと思い、継枝マジックと命名させていただきました。
私も、継枝さんのアトリエで勝負服を作れるよう、がんばります。

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