石川:岩田社長がビジネスにおいて大切にしていらっしゃることはどんなことですか?
岩田:魂を売ってまで金儲けをしたくないという思いが心の中にあって、社長に就任してからも自らに言い聞かせるようにしています。また、意思決定する際に、「無私」でありたいと思っています。自分のためであってはらなないと。
石川:多くの人を尊重しようと思うと、多様な価値観に振り回されたり、様々な情報やプレッシャーに押しつぶされがちです。そんな中で、惑わされることなく、ぶれることなく生きていくには、人間力を高めておく必要があると思っています。この人間力というのは、テキストを読めば身につくようなものではなく、量れるものでもなく、それがビジネスの何に役立つのか?と思っている人もまだまだ多いです。でも、だからこそ、それいゆでは、人間力を高めるということを大切にしたいと思っています。
岩田:おっしゃる通りですね。ビジネススクールなどで学べるのはスキルだけです。それよりも人間的に大きくなっていくことのほうが、ずっと大事なことだと思います。
では人間力を高めるために、どうしたらいいのか? 私は、社員には「常に謙虚であれ!」と言い続けています。謙虚でなければ、何も学べないからです。私の周りの先輩たちを見ても、継続的に成長している方は、偉くなってもずっと謙虚です。逆に自慢話をし始めると、その人の成長が止まってしまうように見受けられます。70歳になっても、80歳になっても、謙虚である限り、人間は成長し続けられる。
石川:良い先生や志の高い人との出会い、あるいは人生感を変えるような言葉との出会いが大切ですね。それいゆの存在意義、提供したいことも、そこにあります。
岩田:陽明学者の安岡正篤氏の「六中観」の中に「意中人あり」という教えがあります。何か迷うことがあったときに「あの人だったら、どう行動するだろう?」と考えたり、「あの人に見られている」と思えたりする対象を、心の中に持っているといないとでは、大きな違いです。私は、ある経営者の方を自分の中でモデルにしていて、その人に対して恥ずかしくないことをしたいと常に考えています。
それと、私は中国の古典書をよく読むんですが、その中には人間力を高めるような言葉が散りばめられていると感じています。聖書でも何でもいいのですが、自分が迷ったときに繰り返し読む本を何冊か持っていると、大きな力になると思います。さきほどご紹介した「六中観」の中にも「腹中書あり」という言葉があります。何か迷ったり悩んでいる時に読むことによって、自分のスタンスが決まったり、バランスが取れたりする本の存在は大切ですね。ピンチに直面した時でも、必ずここに戻ってくる書物をもっていると人間力を高めるのに役立ちます。
石川:人は、年齢を重ねるごとに、成長の度合が落ちてくるというか、成長が認められ、褒められるようなことは減ってくるように思います。それでも、キャリアを重ねるごとに自分ならではの価値を提供できる存在であるために、私たちに、何か良いアドバイスを頂戴できますか?
岩田:何か新しい世界にチャレンジするのが良いのではないかと思います。それはヨガなどの趣味でもいいし、ボランティア活動でもいい。恋をすることもいいのではないでしょうか? それは物理的に誰かとお付き合いをするということではなく、先ほども申し上げた「意中人あり」という意味合いに於いてですがね。
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