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それいゆインタビュー

第3回 松山油脂株式会社 代表取締役社長 松山剛己氏
スキンケア50年、スキンシップ50年 自然の営みと共生するモノづくり 松山油脂株式会社

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Interview 1 引き算のビジネス。足し算のビジネス。

石川:「輝くリーダー」第3回目は、明治41年に創業し100年もの歴史を持つ松山油脂株式会社の社長であり、そこから生まれた新しいブランド「MARKS&WEB」を運営する株式会社マークスアンドウェブの社長でもいらっしゃる松山剛己社長にお話を伺いたいと思います。よろしくお願いいたします。
石鹸や化粧品など同類の商品を扱いながらも、会社組織を2つに分けていらっしゃるのは、どういった理由からでしょうか?
松山:松山油脂ではこれまで、余計なものを一切加えない、無添加や無香料の商品だけを作ってきました。マーケティングの視点から言うと、引き算の商品ばかりだったわけです。バブルがはじけた当時は、過剰なものを削ぎ落とそうとする方向に消費が向いていたので、弊社にとっては追い風でした。でも段々とそういった傾向から、もう少し新しい、面白みのあるものを使いたいという流れに変わりはじめたときに、エッセンシャルオイルや植物エキスなどを加えた多様な商品をお客様に提供しようと考えました。つまりマーケティング的に足し算の商品を出したいと思ったわけです。

ですから、2つの会社は発想もやり方も全く違います。「MARKS&WEB」は、新鮮みのある有用な成分があったらどんどん取り入れよう、新しいものを作ってお客様の選択肢を増やそうという発想で300アイテムの商品を扱っています。そしてその300アイテムの商品ひとつひとつについて、きちんとお客様に説明したいという意味で直営店を展開しています。
石川:御社が扱っていらっしゃる石鹸や化粧品は、世の中にたくさんの競合商品があるわけですが、その中でもこれだけは他に負けないといった強みはどんな点にあるのでしょうか?
松山:自分たちにしかできないことは何ですか?と聞かれたら、お客様の目線でひとつひとつ丁寧に作ることと答えています。というのも、商品の良さは商品が語ればいいのであって、経営者が口にすることではないと思っているからです。使い手であるお客様が、使うという行為を通じて感じること、それがイコール商品の価値なのですから、それをメーカー側が形容詞をつけて声高に語るといったようなことはやりたくないし、やったこともありません。
石川:広告、宣伝よりもクチコミを大事にしていらっしゃるということですね?
松山:メーカー側があえて言わなくても、100人のお客様のうち2、3人は気がついてくださるだろうし、そのお客様がクチコミで他の方に伝えてくださったほうが、広告や宣伝よりも説得力があります。商品やブランドは日々多面的に変化していくものなので、その魅力を言葉に要約することよりも、手にとって使って感じていただくことを大事にしたい。お客様ひとりひとりに感じていただいたこと、その総和がブランドになるのであって、作り手がとやかく言うことではありません。それよりも、お客様が何とおっしゃっているのかを聴くことが大切です。私はお客様の声をいつも聴いていますし、聴くための努力もしています。
石川:先日、ナチュラルローソンでたまたま手にとって購入した商品が、松山油脂さんの「肌をうるおす保湿クレンジング」でした。メープルシロップのような甘い、懐かしい香りがして、肌が暖まるとツルツルと馴染んできました。このなめらかな感触がとても心地よかったです。
松山:その香りは原料のものですね。化粧品には香りが全くない商品は本来存在しないのですが、香料、つまり香りをつけるために配合している原料を含んでいないものは無香料とされます。「肌をうるおす保湿ケアシリーズ」のように無香料の商品は、原料そのものの香りがします。原料の組み合わせによって、メープルシロップのような香りになったり、スモーキーな香りが生まれたりするのです。
石川:「肌をうるおす」シリーズもそうですが、松山油脂さんの商品は、無香料、無添加だけでなく、詰め替え用があったり、最後まできちっと使えるように工夫されていて、そういったところが、先ほどおっしゃられていたお客様の目線に立つ、お客様の声を聴くということを実践されている結果なのだなと思います。パッケージが控えめな点にも、声高に商品について語らないという姿勢が現れているのではないでしょうか?
松山:お客様が商品を使うときの状況や気持ちを、どれだけ深く広く想像できるかだと思います。作り手が想像した以上には、商品の広がりはありえないからです。営業であっても、研究者であっても、生産のスタッフであっても、使い手であるお客様がどう使ってどう感じるのかを、それぞれの立場で真摯に考えることが大事だし、そういうふうに社員が動けるようにするのが私の仕事だと思っています。

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