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それいゆインタビュー

第3回 松山油脂株式会社 代表取締役社長 松山剛己氏
スキンケア50年、スキンシップ50年 自然の営みと共生するモノづくり 松山油脂株式会社

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Interview 3 想像する力を養う

石川:企業は、「個」の力と「組織」の力をバランスよく高める必要があると思うのですが、そのあたりのお考えをお聞かせください。
松山:以前は、「個」の力が集まることで、より大きな力を生むなんて考えていなかったのですが、最近は「個」と「個」が集まることによって相乗効果が生まれると思うようになりました。というのも、第三者との会話や業務のやり取りを通じて、本人も気づいていなかったことに気づかされることがあるという事実を目の当たりにしたからです。そしてその前提となるのは、相手を尊重して話を真摯に聴こうとする姿勢。その姿勢を持たずに、自分の意見を通そうとか、自分が言いたいことを言おうとしか思っていないうちは、相乗効果は生まれません。相手の良いところや自分に無いものを教えてもらおうと思った瞬間に、「個」と「個」はシナジーを生むのだと思います。
石川:相手を尊重して話を真摯に聴こうとする姿勢を持ちたくても、なかなかできない人が多いように思うのですが?
松山:弊社に入社してくる人は、挫折を経験している人が多いです。就職活動で第1希望に進めず名前さえ知らなかった弊社に入社せざるを得なかった人、大手企業の出世競争に疲れて転職してきた人など、皆、人生で1回は失敗をしています。だからこそ待つことができる、相手の話を聴くことができる。私だけが挫折を知らなかったんですよ。だから私は、「個」の力がいくら集まってもそれ以上になるとは思っていなかったし、今のように人の話を聴く姿勢も持っていませんでした。

石川:社長になられたことで、ご自身も変わられたのですね?
松山:失敗をしたり、痛みを感じたりするというのは、すごく良いことだと思います。相手の話を聴く謙虚さは、失敗したことのない人は、なかなか持ち得ません。意見がぶつかったときに、相手を論破しようとか、説得しようとか思って構える人と、まずは相手の話を聴こうという謙虚な態度の人とは大違いです。これほど大事な能力、大事な才能はないでしょう。経験が与えてくれるものです。そういった経験をしたことのある仲間が集まって、力を発揮してくれているのが弊社だと思います。
石川:社員の方々がお互いを尊重しあっているという、ゆとりを感じます。
松山:もうひとつ、弊社には様々な層の人間が集まっていると思います。化学の知識のない生産部のリーダーもいれば、国立大学の大学院の理科系学部を卒業した研究職もいる。老若男女、学歴も多様です。
ひとつエピソードをお話しますね。ある女性の研究開発スタッフは、必ず洗顔料を舐めます。それは、顔を洗うということは口に入る可能性がある、そのときに苦かったらお客様は不快だろう、だから舐めて苦くない原料しか使わない、という発想です。大学院の研究室にこもって研究に没頭してきた人は、そういう発想はできない。高度な専門知識をもたない女性だからこそ、構造式や化学式を知らなくても良い発想ができるのです。
いろいろな個性や能力を持った人間がお客様の立場で物作りをすれば、皆が平等になれます。川上からの発想で物を作ると専門性によって個人の能力に差がでますが、使い手の立場、消費者としては同等なんです。お客様が商品をどう見るか、どう感じるかは論理的なものではありません。だからこそ皆が同じテーブルで対等に意見交換できる、そういう文化を大切にしたいと思っています。

石川:その女性のような発想が持てるか持てないかは想像力の差だと思います。最近、想像力を持っている人と持っていない人の差が広がっているように思うのですが、そういった人材を採用したり育てたりするにあたり、何か意識されていることはおありですか?
松山:採用については、営業も工場のパートさんも全員、私が面接しているのですが、そのときには、能力より性格を見るようにしています。性格の中でも特に重要視しているのが、感じる気持ち、つまり感性の細やかさです。
また、社員には、去年と違うことをやろうといつも言っています。去年と違うことをやるということは失敗する可能性が大きいのだから、去年と違う新しいことをやるという限りにおいては失敗はいい、失敗してもマイナスに思わないようにしようというルールを決めているんです。そうすることによって、新しいこと、誰もやっていないことに対して前向きになれるし、考える力、想像する力を養うことができます。
何かの縁があって、この会社に入ってきたのだから、社員には活き活きと仕事をして欲しい。自分たちがワクワクドキドキと仕事をしなければ会社にいる意味がありません。誇りを持って働いているか、家族に自慢できるような仕事をしているか、常に自分に問いかけて毎日を過ごして欲しいと願っています。そして私自身もそうありたいと思っています。

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